猛暑な、紅花栄。
令和元年、5月26日。
皆さん、こんにちは。引っ越しで時間が取れず、更新が遅くなりました。
その間に、気づくと、一気に猛暑の季節となり、暑さにまだ慣れていないこの時期は、特に熱中症の注意が必要です。帽子や日傘で日よけをし、小まめに水分補給すること、日焼け止めクリームも忘れずに。そして、栄養たっぷりのお料理を、しっかり食べ、いつもより、少し早めに眠りましょう。
さて、1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、それぞれをさらに6つに分けた24の期間を「二十四節気」といいます。
そしてこれをさらに初候、次候、末候の5日ずつにわけて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候です。
二十四節気と七十二候は、その日だけではなく、次の節気あるいは次の候までの期間も指しています。
26日からは紅花栄(べにばなさかう)。紅花が咲き誇る頃と言われています。
花言葉は、『包容力』『特別な人』『愛する力』『化粧』『装い』.......
私も丁度一昨日、お花屋さんに綺麗な佇まいで、咲き誇る、紅花に惹かれ、部屋に飾っています。独特の雰囲気があり、ドライフラワーにも出来、リーズナブルで長く楽しめる花でもあります。
茎の末端に咲く花を摘み取ることから末摘花とも言われる紅花。令和の典拠である万葉集に登場するほど古くから日本人に親しまれていたようです。そこで今回は、紅花についてご紹介します。
紅花はキク科、ベニバナ属の一年草の花。確かに、花の形を見るとキクと似ています。
夏になると、畑一面にオレンジ色や黄色の花が咲き誇り、特に天気の良い日は青空とのコントラストが美しい景色となります。山形ではお祭りも行われるので、一度足を運んでみるのもおすすめです。
その鮮やかな色から、紅花は染料としてよく使われています。では、摘みとった花はどのようにして染料になるのか、紅もちの加工方法を例にご紹介します。
一つひとつの作業がなかなか大変です。まず、紅花摘みですが、作業は早朝に行われます。というのも、紅花はトゲを持っているため、朝露でそのトゲが柔らかくならないと摘みにくいのです。
更に、紅花が咲いている期間はあまり長くないため、開花時期は大忙し。蒸し暑い中、農家の方たちはせっせと花を摘み取ります。
次に、摘みとった花から黄色い色素を抜くのですが、量が多いため、手でもんでは洗い、足で踏んではまた洗い…ということを繰り返し、丁寧に色を抜かなくてはなりません。
3番目の醗酵ですが、よしずに広げた紅花に1日3回ほど水をあげます。様子を見て、時々混ぜてあげることも必要です。
最後の天日干しの際も、もちろん気を抜くことはできません。しっかり乾くよう、成形したものをこまめにひっくり返します。雨は大敵なので、空の変化にも気を配る必要があります。
このように、多くの時間と労力を要するため、昔は米よりも金よりも断然紅もちの方が価値があると言われていました。
長く大切に…
鮮やかな色を売りとしているので、腐って黒ずんでしまっては製品として成り立ちません。
紅花の魅力を損なわないよう、農家の方たちが手間ひまかけて加工しています。出荷された紅もちは、製品になる際も紅を抽出すべくさらに工程を重ねます。その後ようやく、口紅や美しい色の着物として私たちが手にすることができるのです。
畑に咲く花から製品になるまでの背景を知ると、より大切にしたくなりますよね。
ぜひ自然由来の美しい色合いを楽しみつつ、紅花から作られた製品を長く大事に使ってあげてください。
加えて、紅花の花を乾燥させた漢方薬には、リノール酸やビタミンE、種からとれる油にはリノール酸やオレイン酸などが含まれています。特に注目すべきは、リノール酸という不飽和脂肪酸です。これは、植物性の油によく含まれているもので、血中の悪玉コレステロールを減少させる働きがあります。そのため、動脈硬化や心臓病、高血圧といった生活習慣病の予防・解消に効果があるとされます。
また、オレイン酸には胃酸の分泌量を調節することで、腸内環境を整え、便秘を解消する効果も。ただ、あくまでも油分なので、摂り過ぎは肥満につながる可能性があるので、必要な量だけをとるようにすることが大切です。
更に、血行・血流をよくするだけでなく、血管の中で停滞して動かない部分を取り除く働きがあります。婦人用薬として、活血・通経・駆お血(血行障害の治療)・止痛の効果を期待して、月経痛・月経異常・冷え症(冷え性)・更年期障害・打撲傷などに使われています。最近の研究では、発ガン予防や抗酸化作用、血行促進などさまざまな効能があることが解明されてきました。
すでに中国では脳血栓や冠状動脈閉塞の治療に効果をあげています。体を温める効果のある薬酒にコウカを配合すると、血行がよくなって穏やかに体調を補う作用があらわれます。また、効果は、酒とともに服用することで効能が高まることも、長年の経験からわかっています。
古代エジプトでは、ベニバナを利用してミイラの布を黄色く染めていたことが、化学分析で確認されています。
日本には推古天皇の頃、高句麗の僧・曇徴が伝えたとされ、平安時代にはすでにポピュラーな植物になっていました。
『万葉集』の柿本人麻呂の歌にはベニバナ染めが登場しています。『源氏物語』の巻名「末摘花」も、ベニバナのことです。
江戸時代になると山形地方が主な産地となり、山形産のベニバナは「最上紅(もがみべに)」と呼ばれて染めものや口紅に重宝されました。ベニバナは染料以外にも、種子からリノール酸を多く含む紅花油が取れるなど、利用度の高い植物です。
紅花は、イエローやオレンジなど、元気をくれる、チカラを持った花でもあります。ぜひ、暮らしに取り入れてみてください。
今日は、昔から親しまれている紅花について、お伝えしました。
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